島崎 瑞穂
(しまさき みずほ)
本編のヒロインで、都内のソフト会社で働く十九才。
物語の舞台である新潟の出身だが、高校卒業を待たずに上京した。
一見、人当たりの良い風な印象を持つが、自らの意見を絶対に曲げないといった、妙に「頑な」なところがあり、以外と扱いづらい少女である。
彼女の母は、昔、安芸の父の恋仲だった時期があり、その事実は、町の人間なら誰でも知っている事らしい。
姉妹は、母親が安芸の父親との間に授かった子供で、つまり、二人と安芸は異母姉妹という事になる。
妾であった母。そしてそれを口実に自分達を厄介者扱いしてきた町。
そして、それに負けなかった「強い」姉。
これらの出来事をトラウマにして、彼女は多感な少女時代を過ごす。
そして、彼女が生まれ育った町と決別を決める事件が起こる。
一年前に起こった、姉である櫻の「自殺」である。
それが、町に対する彼女の未練を断ち切る事となった。
そして上京。現在にいたる。
姉である櫻と同じく、高校時代に弓道を学んでいた時期があり、現在でもその腕は衰えてはいない様だ。
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島崎 櫻
(しまさき さくら)
瑞穂の姉だった女性。享年二十五才。
周囲の人間の冷たい視線にも負けず、母の死後、年の離れた妹の面倒を一人で見てきた。
この彼女の芯の強い一面は、古くからの武道の一つである「弓道」による精神修養も大きいかと思われる。
嘉悦も、この様な「凛」とした姿に惹かれたらしい。
彼女は、学生時代に弓道をやっていた頃があり、その腕は全国大会にまで出場する程だったらしい。
だが、生活に追われる彼女にそれ程の余裕がある筈もなく、趣味の程度に押さえていたようだ。
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沖 ユカリ
(おき ゆかり)
真一の大学での先輩にして、彼の所属する「鉄道サークル」の主催者。二十三才。
その名前は本来、「紫」書くのが正しいのだが、分かりにくいとの理由から、カタカナの「ユカリ」で通している。
常に明るく元気で、そして誰からも頼られるといった姉御肌(女王様?)の女性。
自他共に認める「超」がつく程の鉄道マニアで、しかもそれが原因で論文も出さずに、留年したという伝説を持つ。
父親が鉄道会社に勤めていて、趣味のきっかけはそこからだが、大学に入るまでは「ソレ程」でもなかった。
趣味の「暴走」のきっかけは、当時在学していた嘉悦によるところらしい。
当時ユカリは、彼に憧れに近い恋愛感情を抱いていたが、彼は卒業と同時に帰郷。
彼女の気持ちは行き場所を無くしてしまう。
ちなみに、櫻の存在も嘉悦からの話で知ってはいたらしい。
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三倉 安芸
(みくら あき)
瑞穂の高校時代の数少ない級友。十九才。
同年代の多くが上京した中、何故か町に残り、現在は自宅の旅館業を手伝っている。
父親(島崎姉妹の父でもある)は、中学時代に死去。
商売柄うるさ型である母親の影響を逆に受けてしまったのか、酷く内気な性格で、他人の頼みを断る事もろくに出来ない程。
ただし、受け答えの際に「うろたえる」タイプではなく、どちらかというと「何も言わなくなってしまう」タイプ。
瑞穂との関係も、そんなカンジ。
だがこれには、異母姉妹である瑞穂に対する「遠慮」もあるようだ。
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白坂 希
(しらさか のぞみ)
親同士が決めた真一の許婚で、いつも明るい天真爛漫な少女。十九才。(数えで二十)
言葉づかいも独特で、言葉の語尾に「〜ですぅ」とつける癖がある。
父親は不動産会社、白坂ホームズの社長で、上に四人の姉を持つ。
つまり、一番の末っ子。
親同士の話とは言え、真一の事がいたく気に入っている様で、彼が家を出た後もアパートまで押しかけてくる程。
ついには「彼の傍にいる為に」と、同じ大学にまで入学してくる始末。
が、料理は出来ない、洗濯もろくにやった事の無い彼女の「手伝い」は、真一にとっては有難迷惑以外の何物でもない様だ。
だがそれでも彼女は「真一さんのお嫁サンになる為に」と、通い続ける。
何故、そこまでして彼を追い続けるのか?
周囲は疑問に思っているが、その理由は至って単純で、彼が「初恋の相手」だから。
高校まで、ずっと女子高で、周りに同年代の男が少なかったせいもあるのかも知れない。
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